体臭・スメハラの伝え方、大丈夫? 職場の人間関係を壊さずできる対策を解説
暑さが本格化し、オフィスでの体臭問題が再び注目を集める季節がやってきました。弊社にも、様々な企業の人事ご担当者から、こんなお悩みが寄せられています。
- 社員の体臭に関する苦情が増加している
- 体臭問題が原因で、チームの雰囲気が悪化している
- 体臭がある社員への対応に苦慮している
匂いによって周囲に不快感を与えることが「スメルハラスメント=スメハラ」と呼ばれ、近年特に問題視されています。というのも、新型コロナウイルスへの対策緩和によりマスクを外しはじめた職場が多く、ここしばらく感じていなかった匂いが余計に気になってしまう、という背景があるからです。
このようなスメハラによって顕在化する問題は、実は氷山の一角に過ぎません。体臭問題は、企業に想像以上の悪影響をもたらしているのです。
当社が実施した調査によると、スメハラ問題が深刻な職場では、以下のような影響が見られました。
- 生産性が最大20%低下
- 離職率が平均15%上昇
- 社員の満足度が30%以上低下
これらの数字が示すように、スメハラ問題は単なる不快感の問題ではなく、企業の業績に直結する重大な課題なのです。
しかし、多くの企業では全体へ向けた注意喚起などの対策をするに留まっており、根本的な解決には至っていません。なぜでしょうか?それは、体臭問題の解決が非常に複雑だからです。
職場のスメハラ問題を解決するのがなぜ難しいのか
スメハラ問題が解決しにくい最大の理由は、その原因が一般に考えられているものとは異なる点にあります。
体と服を洗っているのにクサい? ニオイ問題の意外な原因
多くの人は、体臭の原因を個人の衛生習慣の問題…例えばお風呂にあまり入っていないとか、髪をちゃんと洗えていないとか、洋服を洗濯していないといったことが原因だと考えています。しかし、実際はそう単純ではありません。
当社の調査によると、職場で「臭い」と指摘される人の約半数は、実は毎日お風呂に入り、洋服もしっかり洗濯しているのです。では、なぜ体臭が発生するのでしょうか?
主な原因は以下の3点です。
- 洗濯後の衣類の不十分な乾燥:
たとえ服をしっかり洗濯したとしても、そのあとに十分に乾燥させないままにしておくと、雑菌が急速に繁殖します。洗濯から乾燥までに時間をおいてしまったり、また、部屋干し等で十分に乾かし切らなかったりすることが原因に。これが不快な臭いの大元となります。 - 洗濯槽のカビ・雑菌:
洗濯槽の中に洗った衣類を放置していると、洗濯槽も湿った状態が続き、カビや雑菌繁殖の原因に。そうなった洗濯槽で洗った衣類は、カビや雑菌が付着して臭くなってしまいます。 - 衣類のニオイ戻り:
一度衣類に繁殖した雑菌は非常に頑固に残り続けます。何度か洗濯して臭いがなくなったように感じても、日中汗などで湿ることで繊維の奥に潜んでいる雑菌が再び活性化し、嫌な臭いが戻ってきてしまうことがあります。
本人は、体の清潔を保つ行動は取っているため、自分がニオイの原因となっていることに気づきづらい。そして周囲も気を遣ってなかなか本人に指摘できない…
こんなケースがとても多いのです。
香水に柔軟剤… ある人にとっては良い香りが、他の人へのスメハラに
体臭問題の複雑さをさらに増しているのが、「香害」とも呼ばれているこの問題。良い香りのつもりが、他者にとっては不快な臭いになってしまうケースです。
身だしなみやおしゃれのつもりで身に付ける香水やコロンが原因の代表例ですが、近年、改良されたことで衣類により香りを残す効果が強まっている柔軟剤が原因になることも増加しています。
また、ヘアワックスやヘアスプレーなどの整髪料も、鼻に近い部分で香るために問題となり得ます。
この場合の「スメハラ」が難しいのは、使用者本人が心地よいと感じる香りが、周囲の人にとっては強すぎたり、不快だったりする点です。さらに、化学物質過敏症の人にとっては、健康被害につながる可能性もあります。
「良い香り」の基準は人によって大きく異なり、また、文化的背景や個人の嗜好、さらには体質的な要因によっても、香りの受け取り方は変わってくるため、香りの原因である当の本人が問題に気づくまでに時間がかかりがちで、解決が困難になるのです。
スメハラを指摘する側・される側 それぞれの心理的バリア
スメハラ問題の解決を難しくしているもう一つの要因が、心理的なバリアです。
指摘する側としては、「相手を傷つけたくない」「人間関係を損ないたくない」という心配から、問題を指摘できないという人が圧倒的多数です。また近年、ハラスメント防止の機運が高まっていることから、上司から部下へ、あるいは異性への体臭の指摘が「パワハラ」「セクハラ」と取られてしまうのではないか……という不安を感じ、指摘できない人も増えています。
また、「もしかしたら自分も臭いと思われているかもしれないので、指摘するのが怖い」という声も少なからずあるようです。
一方でニオイを指摘される側の心理としては、まずは多くの人が自尊心が傷つくことを感じます。さらに、社会的な立場が脅かされるという不安から、問題を認識したくない・直視したくないとの思いから、指摘されて軽く流してしまったり取り合わなかったりといった行動がよく見られます。
こういった、指摘する側・される側双方の心理的バリアが、問題の早期発見と解決を妨げているのです。
以上のように、スメハラ問題は単純な衛生管理の問題ではありません。科学的な知識と心理学的なアプローチの両方が必要な、複雑な課題なのです。
次のセクションでは、この問題に対する法的リスクと企業の責任について詳しく見ていきましょう。
スメハラ問題を放置する法的リスクと企業の責任
スメハラ問題は単なる不快感の問題ではありません。適切に対処しないと、企業が法的リスクを負う可能性があります。
スメハラ問題と「職場環境配慮義務」
不快なニオイは、従業員の心身の健康を脅かす恐れがあります。
その点で、企業が対応を怠ると、労働契約法第5条に以下の通りに定められた「職場環境配慮義務」、
(労働者の安全への配慮)
労働契約法
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
そして、民法第715条1項に以下の通りに定められた「使用者責任」
第715条1項
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
民法
を論拠に、被害者から訴えられてしまう可能性があります。
ハラスメント防止の観点から見た適切な対応
その一方で、体臭に関する不適切な指摘や対応は、パワーハラスメントとして問題になる危険性もはらんでいます。
上図は、厚生労働省が示しているハラスメントの6類型ですが、匂いに関して不適切な指摘をしてしまうと、このうち「精神的な攻撃」とされてしまいかねません。いくらある従業員の匂いが他の従業員の迷惑になっているとしても、それを理由に、指導される本人が「人格まで否定された」と感じてしまうような指摘をしてしまうことは避けなければなりません。
企業には、体臭問題に対して以下のような責任があります。
- 快適な労働環境の整備
- 従業員の健康管理支援
- ハラスメントのない職場づくり
これらのバランスを取りながら対応することが求められるのです。
よくあるスメハラ対策とその限界
多くの企業では、体臭問題に対して従来型の対策を講じていますが、その効果は限定的です。なぜ、これらの対策では不十分なのでしょうか。
一般的な体臭対策の事例とその問題点
多くの企業で実施されている対策には、以下のようなものがあります。
- 注意喚起のポスター掲示
- 制汗剤の配布や設置
- 個別の口頭注意
しかし、これらの対策には以下のような問題があります。
- 効果の一時性: 注意喚起や制汗剤の配布は一時的な効果しかありません。
- 根本原因への対処不足: 雑菌の繁殖や不適切な洗濯方法など、真の原因に対処できていません。
- 心理的抵抗: 個別の口頭注意は、被指摘者に強い心理的抵抗を引き起こし、逆効果になることもあります。
なぜ「清潔にするよう注意する」だけでは不十分なのか
また、ニオイの原因が体臭だったとしても、「清潔にするよう注意する」というアプローチには、以下のような限界があります。
- 知識の不足: 多くの人は、適切な洗濯方法や雑菌対策について正しい知識を持っていません。
- 自覚の欠如: 前述の通り、本人が体臭に気づいていないケースが多々あります。
- 行動変容の難しさ: たとえ注意されても、長年の習慣を変えることは容易ではありません。
当社の調査によると、従来型の対策のみを実施している企業では、体臭問題の解決率はわずか20%に留まっています。この数字は、新たなアプローチの必要性を如実に物語っています。
次のセクションでは、これらの限界を克服する、科学的かつ心理学的なアプローチについて詳しく見ていきましょう。
「体臭」には科学的アプローチを
まず、スメハラの中でも香水や柔軟剤が原因のタイプではなく、体臭が原因となるタイプの問題の根本的な解決には、科学的な知識に基づいたアプローチが不可欠です。ここでは、特に重要な3つのポイントについて詳しく見ていきましょう。
正しい洗濯と乾燥の方法
多くの人が見落としがちなのが、洗濯と乾燥の重要性です。前述の通り、不適切な方法でやれば、洗濯をしていたとしても、かえって雑菌の繁殖を促進し、ニオイはひどくなる一方です。
ポイント
- 洗剤は適量を使用し、すすぎを徹底する
- 脱水をしっかり行い、洗濯物の水分を可能な限り減らす
- 洗濯後は速やかに干し、十分な乾燥時間を確保する
一度ついてしまった雑菌には、消毒しかない
雑菌の繁殖を防ぐことが、体臭対策の要です。特に、一度繁殖した雑菌の除去には、適切な消毒が欠かせません。「洗濯すればニオイはいずれ取れる」と考える人は非常に多く、また、人の鼻はすぐにニオイに慣れてしまうため、本当はニオイが取れていないのに取れたと勘違いしてそのまま……というケースがあまりに多いのが実情。
雑菌が原因のニオイは、以下のような正しい消毒をしなければ落ちることはない、ということをしっかりと周知する必要があります。
効果的な消毒方法は以下のようなものが挙げられます。
アイロンでの加熱
しっかり脱水をしたあとの衣類に、100〜150℃程度に熱したアイロンをかけます。高温で除菌する、という方法です。シワを伸ばすことも同時にできるため、シャツなど、どちらにせよアイロン掛けが必要な衣類であれば一石二鳥です。
また、雑菌以外が原因のニオイ(飲食店に入った際のニオイやたばこの臭いなど)の軽度なものであれば、スチームアイロンのスチームをかけるだけで落とせることもあります。
逆性石鹸での洗濯
まだニオイがそれほど深刻ではない段階であれば酸素系漂白剤を使えば除菌をすることができますが、染みついてしまった嫌なニオイはもっとしっかりと除菌をしなければ落とすことはできません。
そんなときに使いたいのが、「逆性石鹸」です。
商品名としては「オスバン®S」というのが有名です。
逆性石鹸は、殺菌力はありますが洗浄力を持っていません。そのため、まずは通常の洗濯を行った後に、逆性石鹸を使用して洗い、しっかり脱水を行って干すといった方法で利用します。もっとも手軽なのは、洗濯をする際に柔軟剤の投入口に入れること。
逆性石鹸は通常の洗剤とは逆の性質を持つため、洗う際に一緒に投入してしまうと洗濯洗剤と互いに打ち消し合って、洗浄も殺菌もできない、ということになってしまいます。そのため、洗濯機に投入して使用する場合には、洗いとすすぎが終わった
ただし、使用時には以下のような注意点もあります。
週に1〜2回、1年間洗濯に逆性石鹸を使用していたところ、かぶれてしまったという報告があります。
これは長期間の利用により、生地に逆性石鹸の成分が堆積してしまうことが原因の一つです。そのため、逆性石鹸はあくまでニオイが出たとき(雑菌が繁殖してしまったとき)の対策として利用することとし、予防的に常用することは避けたほうがよいでしょう。また、使用時は定められた濃度を守るようにしましょう。
煮洗い
最終手段ともいえるのが、煮洗いです。鍋に洗濯物を入れ、洗濯物がすべてつかる程度の水を入れてから火にかけます。10分ほど沸騰させてから取り出して、普通に洗濯を行うという方法です。
煮沸消毒を行うということになるので効果は抜群ですが、その代わり生地に負担がかかる方法ではあるため、肌着など、できる衣類に限りがあるのが難点です。
着用時の雑菌繁殖を防ぐための素材選び
適切な素材の選択も、体臭対策には重要です。通気性と吸湿性の高い素材は、汗の蒸発を促進し、雑菌の繁殖を抑制します。
ビジネスシーンに使いやすいおすすめの素材は以下のようなものです。
- 綿:吸湿性に優れ、肌触りも良い
- ウール:吸湿性と速乾性のバランスが良い。冬の素材と思われがちだが、夏のスーツ地としても利用されている通年素材
- 機能性素材:ポリエステルの素材に特殊な加工で通気性や吸湿性、防臭性や抗菌性をプラスした機能性素材が多数出ている
これらの科学的アプローチを正しく理解し、実践することで、体臭問題の大部分は解決できます。
香り問題には、意識を変えるための環境整備を
続いて、体臭や衣類に残った雑菌が原因ではなく、香水や柔軟剤が原因の「スメハラ」。この場合には、スメハラの原因となる人がそれらを使わなくなれば問題が解決するわけですが、そのためにはそれに気づいてもらうための環境整備が必要です。
具体的には以下のようなことです。
香りの使用に関するガイドラインの策定
職場全体で共有できる明確なガイドラインを作成しましょう。
たとえば、香水や柔軟剤の使用量に関する具体的な指針を示したり、無香料・低香料製品の推奨リストを作成したり、共有スペースでの香り付き製品使用の制限することなどが考えられます。
香りに対する従業員教育とコミュニケーション促進
また、単にガイドラインを策定するだけでなく、職場の1人1人に理解を促すことも重要です。
そのためには、スメハラの定義や影響に関する講習、香りに対する感度や好みの個人差に関する知識の提供といった従業員教育が有効でしょう。
また、ロールプレイングを通じた相互理解の促進もよく行われることです。
ここまでの対策を行えば、スメハラの要因に対する知識を従業員が持つことはできますが、しかし、知識を持つだけでは十分ではありません。次に、その知識を実際の行動変容につなげるための心理学的アプローチを見ていきましょう。
スメハラの原因となる人が、解決行動を取ってくれるようになる、心理学的アプローチ
社内で起こっているスメハラ問題の完全な解決には、原因についての知識に加えて、スメハラの原因となっている社員の行動を変える心理学的アプローチが不可欠です。
フォースタイルでは、スメハラについての情報提供を行った上で、まずは取り組みやすい対策からご提案をしています。具体的には以下のようなアプローチです。
まずは本人に自覚を促す、低コストで効果的なアプローチ
体臭問題の大きな障壁の一つが「自覚の欠如」です。これを解消するには、客観的な評価と自己チェックの習慣化が効果的です。以下に、コストを抑えつつ効果的な方法をご紹介します。
1.ニオイチェックシートの活用
ニオイチェックシートは、自身の体臭の状態を定期的に記録するツールです。これを使用することで、以下のメリットがあります。
- 自己の体臭の変化を客観的に把握できる
- 時間帯や部位ごとの傾向を認識できる
- 改善の進捗を視覚的に確認できる
特に外回りの多い職種の場合には、ニオイに気を配らなければいけないシーンが多いことに加え、歩き回ることで汗をかきニオイが出やすいというリスクがあります。外回りに行く前後に、このニオイチェックシートの活用を習慣づけるだけである程度の効果が出てくるはずです。
2.「ニオイ仲間」システムの導入
信頼できる同僚と2-3人でグループを作り、互いの体臭をチェックし合うシステムです。
このシステムの利点
- 客観的な評価が得られる
- 相互のサポートによりモチベーションが維持できる
- コミュニケーションを通じて職場の雰囲気が改善される
3.「香りリセット」の実践
強い香りのするものを用意し、定期的に嗅ぐことで、自身の体臭に対する感覚をリセットする方法です。特にコーヒー豆は嗅覚をリセットする効果が強く、手に入れやすいのでお薦めです。
この方法の効果
- 鼻の慣れを防ぎ、自身の体臭に対する感度を高める
- 定期的な自己チェックの習慣化につながる
- 手軽に実施できるため、継続しやすい
これらの方法を組み合わせることで、コストを抑えつつ効果的に自覚を促すことができます。重要なのは、単に一時的に実施するのではなく、継続的な取り組みとして定着させることです。
しかし、ニオイを自覚できたとしても解決へのアクションを取るのにはまた心理的なハードルがあります。そこで次のセクションでは、スメハラの原因となってしまっている社員に働きかける際、有効な方法論についてお伝えします。
スメハラ社員に直接働きかける、「行動変容ステージモデル」の概要と有効性
前述の通り、人はニオイの問題を指摘されたとしても、なかなか解決へのアクションを取ることができません。それは、自分の問題を認め、それを解決するという行動は、人間にとって大きなストレスを伴うからです。
そんな人間心理を理解した上で、問題となる行動を変えていくために働きかける手法として、フォースタイルでは、医療領域において心理職がよく利用している「行動変容ステージモデル」を応用しています。
行動変容ステージモデル(Stages of Change Model)は、人々が習慣や行動を変える過程を説明する心理学的理論です。この理論は、ジェームズ・プロチャスカによって提唱されました。 生活習慣の改善(禁煙や食事、改善、運動習慣など)に対するその人の準備性を評定し、それに合わせた支援を行うために利用されるものです。
人の行動変容プロセスを5つのステージに分類し、各ステージに応じた介入を行うことで効果的な行動変容を促す手法です。
このモデルでは、人が行動を変える過程を以下の5つのステージに分類しています:
無関心期(前熟考期)
6ヶ月以内に行動を起こそうとする気がない段階です。この段階では、人は問題を認識していないか、変化の必要性を感じていません。 あるいは、これまでに行動変容を何度も試みたものの、そのために失敗して、やる気が低下している可能性もあります。
私には体臭の問題なんてないし、多少臭かったとしてもまぁ大丈夫でしょ…
この段階の人へは、 行動を変えるよう強く説得しても効果はありません。まずは信頼関係を構築すること、そして情報提供を行い続け、なるべく自分で問題に気づくよう仕向けていくことが必要です。また、心理カウンセリングのアプローチの一つである「動機付け面接」を実施することも効果的です。
関心期(熟考期)
問題を認識し始め、変化の可能性を考え始めます。6ヶ月以内に行動を起こす気持ちが生まれてきた段階です。しかし、まだ具体的な行動は取っていません。この段階の人は、行動を変化するメリットとデメリットの間で揺れ動いている状態です。
もしかして私って臭いのかも……ちょっとどうにかしないと、営業行くときにまずいかもなぁ
この段階の人へは、行動を変えることによるメリットを強く認識してもらえるよう、根気よくアドバイスを続けることが大事です。
準備期
変化のための具体的な計画を立て始めます。 1ヵ月以内に行動を起こす気持ちがある段階です。
週末に制汗剤を買って、来週から使ってみよう
スメハラ対策のための具体的なアクションを伝えるべきなのは、まさにこの段階です。「やる気はあるものの、やり方がわからない」という状態なので、情報提供することで行動を変えられると自信を持て、 スムーズに実行に移せるようになります。
逆に言えば、この段階に入る前に具体的なアクションの情報提供をしすぎることは逆効果なのです。
実行期
実際に行動を変え始めてから6ヶ月以内の段階です。
毎日制汗剤を使ってるし、洋服の洗い方も変えてみたぞ…!
この時期は、行動を変えている今の状態を維持できるよう周囲がサポートすることが重要です。継続が難しくなりそうなきっかけを取り除いたり、周囲がその行動を認めて褒めるなどといったことが効果的です。
維持期
行動を変えてから6ヶ月以上経過した段階です。この段階の人は、今の行動を持続できると言う自信を持つことができるようになっているはずです。
制汗剤と新しい洗濯の方法を取り入れ始めて半年経ったけど、慣れちゃえばなんてことなかったな……これからも続けよう!
この時期からは、良くない行動に逆戻りする可能性のある状況などを整理し、その時にどうするか対策をあらかじめ決めておくと良いでしょう。
このモデルの重要なポイントは、人々が必ずしも直線的にこれらのステージを進むわけではないということです。後戻りしたり、何度も同じステージを行き来したりすることもあります。ですから常に対象者の今のステージを正しく把握し、対策を進めていくことが求められます。
さて、この行動変容ステージモデルを理解し活用することで、個人の現在の状態に応じた適切な介入や支援を提供することができます。
続いてはこれらのアプローチを取り入れた当社の具体的なソリューションについてご紹介します。
フォースタイルが提供した「スメハラ対策」事例と成功させるためのポイント
当社では、これまでご紹介した科学的アプローチと心理学的アプローチを組み合わせた、統合的なスメハラ対策ソリューションを提供し、多くの成功事例が生まれています。
ここでは、3つの代表的な事例をご紹介します。
事例1:IT関連企業 A社
課題
若手社員の体臭問題が顧客との商談に影響を与えていた
実施内容
- 全社員向けビジネス身だしなみ研修(半日コース)を実施
- 管理職向けに「行動変容ステージモデルを活用した個別指導プログラム」研修を追加実施
- 「ニオイ仲間システム」を部署ごとに導入
成果
- 社内の体臭関連トラブルが87%減少
- 若手社員の身だしなみへの意識が向上し、全体的な印象が改善
事例2:メーカー B社
課題
工場内にてニオイ問題が深刻化し、作業効率の低下や、若手社員・女性社員を中心とした離職率の上昇が問題に
導入内容
- 全社員向け身だしなみ研修(半日コース×2回)を実施
- 各ラインリーダーに「行動変容ステージモデルを活用した個別指導プログラム」研修を追加実施
- 工場内に匂いリセットができるグッズを常備した「ニオイチェックステーション」を設置
成果
- 作業効率が半年で17%向上
- 離職率が1年で34%低下
- 職場の雰囲気が改善し、コミュニケーションが活性化
事例3:サービス業C社
課題
接客スタッフの体臭問題が顧客満足度低下の一因となっていた
導入内容
- 全スタッフ向け身だしなみ研修(半日コース)を実施
- マネージャー向けに個別指導プログラムの研修を実施
- 朝礼でのニオイチェックの導入
成果
- 顧客満足度調査で「非常に満足」の回答が26%増加
- スタッフの身だしなみへの意識が向上し、接客態度全体が改善
- 社内コミュニケーションが活性化し、チームワークが向上
フォースタイルが提供する統合的ソリューションは、単に体臭問題を解決するだけでなく、組織全体の雰囲気や生産性の向上にも大きく貢献します。
まとめ
スメハラ対策は、原因に対する科学的なアプローチと、ニオイの原因となっている本人をサポートする心理学的なアプローチの両方が必要な、デリケートな問題です。
ぜひ自社だけで解決しようとせず、その両方の知識を豊富に持つプロ集団であるフォースタイルにお任せ下さい。まずは小規模なパイロットプログラムから始めることも可能です。ご検討中の段階でも結構ですので、
ぜひお問合せフォームからご連絡下さい。
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